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ツシマヤマネコは動物園で見られる?生息地や絶滅が危惧される理由は?

ツシマヤマネコは動物園で見られる?生息地や絶滅が危惧される理由は?

この記事では、ツシマヤマネコが動物園で見られるのかどうか調査しました。ツシマヤマネコは「対馬山猫」と表記し、現代の日本に自然分布するヤマネコの一種です。見た目はイエネコと同じくらいで、愛らしい顔と自由奔放な性格も共通しています。

ツシマヤマネコはどこに生息していて、絶滅が危惧されているのは事実なのか、詳しい情報を調べてみました。

ツシマヤマネコは動物園で見られる?

ツシマヤマネコは、動物園で見ることができます。2025年現在、ツシマヤマネコを飼育している日本の動物園は、以下の通りです。

施設名場所
井の頭自然文化園東京都
よこはま動物園ズーラシア神奈川県
那須どうぶつ王国栃木県
東山動植物園愛知県
富山市ファミリーパーク富山県
京都市動物園京都府
福岡市動物園福岡県
九十九島動植物園長崎県
沖縄こどもの国沖縄県

繁殖のため、頻繁に転出することがあるそうですが、上記9つの施設でツシマヤマネコを見ることができます。

日本で初めて自然繁殖に成功したのは福岡市動物園

福岡市動物園で2000年に、初めてツシマヤマネコの自然繁殖が成功しました。2022年にもツシマヤマネコの赤ちゃん3頭が誕生したニュースが発表されており、現在福岡市動物園には10頭のツシマヤマネコが飼育されているそうです。2022年に出産したメスは、実に5回目の出産だったそうです。

参考サイト:福岡市動物園

なお環境省によると、これまで福岡市動物園では70頭を超えるツシマヤマネコが誕生しています。

日本で初めて人工授精に成功したのはズーラシア

神奈川県横浜市にあるズーラシアでは、2021年に初めて人工授精によるツシマヤマネコの繁殖に成功しました。腹腔鏡を用いて人工授精を施し、妊娠が確認されたそうです。ツシマヤマネコは、自然繁殖だと繁殖期の個体同士の相性に左右されてしまうため、人工授精が進められてきました。2019年から始まり、ズーラシアのほかに井の頭自然文化園、環境省対馬野生生物保護センターの3施設で行われています。

参考サイト:環境省

ツシマヤマネコの生態について詳しく解説

ツシマヤマネコの生態について解説しましょう。ツシマヤマネコは哺乳綱食肉目ネコ科に属するベンガルヤマネコの極東亜種で、当時陸続きだった約10万年前に、大陸からやってきたと考えられています。ツシマヤマネコは対馬だと集落近辺の田畑に降りてきたり、森林の中で発見されたりすることもあるそうですよ。そのため、地元では「田ネコ」と呼ばれることもあるとか。

参考サイト:マイナビニュース

特徴は?

ツシマヤマネコは3~5kgくらいの重さで、体長は50~60cm。私たちがよく知るイエネコ(家で飼われる猫)と同じような見た目をしていますが、出産できる子猫の数はイエネコよりも低いそうです。1回の出産で1~3頭の子猫を産むそうですよ。見た目の特徴としては、体全体にある斑点模様や額の縞模様、同じく縞模様のある太いしっぽも目立ちます。

耳の裏を見ると白斑があり、虎の耳のようにも見えます。

イエネコと比べて耳が丸みを帯びていて、可愛いですね。

性格は?

ツシマヤマネコは、警戒心が強く人になつきにくいのが性格的特徴です。薄明薄暮型とされる性格で、これは明け方と日暮れ時に活動が活発になることを意味します。単独行動をする個体が多く、ネズミや鳥、昆虫を食べて生活しています。

参考サイト:環境省

毎日餌をあげる動物園の飼育員にさえも、ツシマヤマネコはなつかないそうです。近づくと威嚇し逃げてしまうとか。

人によって育てられたツシマヤマネコであっても、成長とともに本能の部分が出てくるのか、人と距離を置くようになるそうですよ。

参考サイト:いきもののわ

生息地は?

ツシマヤマネコの生息地は、主に以下の地域です。

  • モンゴル
  • 中国大陸北部
  • 東シベリア
  • 朝鮮半島
  • 対馬

以前は韓国の済州島にも分布していたそうですが、現在は絶滅しているそうです。対馬野生生物保護センターによると、ツシマヤマネコは日本で長崎県の対馬にのみ分布しています。1971年には国の天然記念物に、1994年には国内希少野生動植物種に指定されたそうです。

ツシマヤマネコは絶滅危惧種?

ツシマヤマネコは環境省レッドリスト上で「絶滅危惧IA類」とされています。絶滅危惧IA類は一貫して絶滅の恐れが最も高い分類で、沖縄県の西表島に生息するイリオモテヤマネコと同様に、絶滅が懸念されています。現在は対馬に約100頭弱生息しているものとみられ、近年は生息情報が途絶えていたこともありました。平成19年、実に23年ぶりに生息が確認されたそうですよ。

参考サイト:朝日新聞

絶滅危惧しに指定された原因とは

ツシマヤマネコが「絶滅危惧IA類」に指定された理由は、主に生息環境が悪化していることや、交通事故に遭う個体が増えていることです。

参考サイト:対馬市

また山口大学によると、イエネコからの病気感染(ネコフォーミーウイルス)も確認されています。イノシシやシカが増えていることで、ツシマヤマネコの住処が荒らされることもあるそうで、NPO法人「ツシマヤマネコを守る会」がツシマヤマネコのための巣箱を設置する活動を行っています。

参考サイト:読売新聞オンライン

保護活動と人工繁殖が進められている

ツシマヤマネコは絶滅危惧種に指定されているため、法律に基づき対馬野生生物保護センターを開設。ツシマヤマネコの生態調査や交通事故被害に遭った個体、そして病気に感染した個体の保護活動を行っています。住民への環境教育や啓発活動なども積極的に行われているそうですよ。そして、福岡市動植物園で人工飼育や繁殖計画が開始されました。年を取ったツシマヤマネコを野生に返すのは危険なため、加齢により繁殖できなくなった個体は一般公開しています。

まとめ

ツシマヤマネコが動物園で見られるのかどうか調査しました。ツシマヤマネコは計9つの動物園で見ることができます。野生のツシマヤマネコは、長崎県の対馬でのみ確認することができるそうです。しかし、絶滅の恐れが最も高い絶滅危惧IA類に指定されており、国が保護活動と人工繁殖を進めています。自然繫殖や人工授精により、各動物園でツシマヤマネコが誕生しており、今後も動物園で見られる機会が増えそうです。

野生、そして人工的な環境でも懸命に生きるツシマヤマネコが、健康で自由に生きられる環境を維持したいですね。

えんちゃん
編集長
えんむすび速報 キャラクター
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